中国進出は、4大商戦時期を狙え!
こんにちは。中国上海で日本酒を広げるためのサービスに特化しております、ミヤケアジアマーケティング総経理の三宅紘一郎です。 日本酒が中国で売れるための秘訣を、中国の風習から最新の顧客ニーズまでのレポートを全3回に分けて書かせていただきます。
第1回は、上海の社会動向、市場の動向に注目し、中国市場がいかに力を入れるに値する市場なのかを検討するために、中国における日本酒の可能性についてまとめました。
今回の第二回は上海の消費者は何を求めているのか?売り場にはどのような特徴があるのか知るために市場の特徴と商戦時期についてまとめました。
上海の消費者と狙うべきターゲット層について
上海市の人口は2011年末時点で2302万人66人(内、上海戸籍人口は1412万32人)を超えている。その内何人が日本酒の顧客と成り得るのか、それはどのような人かを以下の各データから検討する。【参考資料:中証ネット、人民日報、解放日報、第一財経日報、「中国中産階級調査」、第6次全国人口調査(上海市統計局)】
■上海の消費者構造は、以下の四つにわけられる。
- 出稼ぎ労働者
- 上海人の低所得者層
- 中産階級
- 富裕層
最近上海では、一世帯あたり月収1万元(約13万円)クラスの新富裕層が消費の牽引力として注目を集めている。
日本酒メーカーが狙うべきは、3.中産階級と4.富裕層になるだろう。
中でも日本に留学をしたことがある、日本の文化に興味がある、日本料理を食べるのが好きであるというキーワードに当てはまる消費者が狙い目だ。
地方からの出稼ぎ労働者は品質や安全よりも少しでも値段の安い商品を買うという消費様式がある。
消費に関しての認識がまだ成熟しておらず、様々なトラブルに巻き込まれる可能性が高いグループで、メラミン毒粉ミルクの悲劇にあった多くは上海以外の消費者であったと言われている。
上海在住の台湾人と香港人がターゲットにする
上海には韓国、日本、フランス、ドイツ、イタリア、イギリス、アジア諸国など各国から人が集まっており、外国人人口は2009年時点の政府発表で約15万人(台湾、香港人除く)。
この数字に旅行者、出張者、投資家なども含めると30万人前後の外国人+50~100万人の台湾人、香港人が上海にいるのではないかと言われている。
この中で特に可能性を秘めているのは台湾人、香港人消費者だろう。台湾、香港では上海以上に日本料理屋、日本文化が浸透しており日本のものを受け入れる風潮がある。
また同じ中華圏であるため台湾商人、香港商人は中国で商売が進めやすいため上海に根付いており様々な事業に関わっている。日本料理屋を経営する香港人、台湾人もいる。
ディスコの一晩の売上が2000万円!?
若者富裕層の消費行動
McKinsey & Company.による2009年の調査結果によると、中国で年収200万元以上の富裕層が2015年までに400万世帯を超えると伝えた。
調査によると、中国は年収200万元の富裕層が年16%増の勢いで伸び続けており、15年までには400万世帯を突破、富裕層の数で米国・日本・英国に次ぐ世界4位に浮上するという。
また、中国人富裕層は若年層が多く、45歳以下が80%を占める。
中国の消費を引っ張っていく若年層・富裕層には多くの消費財メーカーが興味を示している。これらの消費者がどのようにお酒を消費するかを知るために上海で見るべきスポットは若者が集まるナイトクラブ(ディスコ)だろう。
週末になると若者が集まりテーブルを数人で予約しウィスキー、シャンパン、ワインで乾杯をする。2011年のクリスマス、上海で最も人気のあるディスコの一晩の売り上げは2000万円近くなったそうだ(店舗店長談)。
ここに例えば、日本酒が入り込めればどうだろうか?ウィスキー、シャンパン、ワインだけでなく、日本酒を注文することがかっこいいという文化を築ければ、大きな市場になる事は、間違いない。
富裕層・中間所得者層、低所得者層の統計データ
統計データ
中国招商銀行と米コンサルティング大手ベイン社の2009年の調べによると2009年中国個人資産報告1000万元(約1億4000万円)以上の資産を持つ人が09年32万人になる。
個人資産が1000万元を超える人が2万人を超える地域は広東省、上海市、北京市、江蘇省、浙江省。中でも広東省が最も多く4万6000人で全体の15%。
2005年末での年齢構成は、0-14歳の若年人口が全体の8.9%、65歳以上の老年人口が11.9%、労働人口と定義づける15-64歳は1408万人、79.2%。若年人口の比率は2000年時点に比べ3.4ポイント減少し、老齢人口は0.5ポイント増えている。
以上のデータから以下の図を作成した。
図では上海の人口約2300万人を、現在日本で販売している数千円から数万円の価格帯の日本酒を商品を変更せずに購買可能なAグループ。中産階級、新富裕層と呼ばれ「世界の市場」を牽引している成長著しいBグループ。地方からの出稼ぎ労働者など中国の発展の表と裏の裏と言われるCグループ。の三グループに分類した。
Aグループ:(定義:数千円~数万円の日本酒を購入することができる)
上海人富裕層・外地人富裕層・ 台湾・香港人・日本人・その他外国人 ※富裕層とは年収が20万元以上の人と定義。
Bグループ:(定義:今の時点では日本酒を買おうとは思わないが消費力が上がっている)上海人中産階級・外地人中産階級 ※中産階級とは年収が6万元(90万円)~20万元(約300万円)の人と定義。
Cグループ:(定義:とにかく安いものを求める)
上海人低所得者層・外地人出稼ぎ労働者 低所得者とは年収が6万元(90万円)以下と定義。
富裕層・中間所得者層、低所得者層へのアプローチ方法
Aグループ:上海人富裕層への提案
接待、ギフトで使われる日本酒の提案。中国の日本料理屋は接待で使われることが多く、そこでは稀ではあるが「一番高いお酒を持ってきて。」というオーダーが入り720MLの大吟醸クラスの日本酒が2000元~3000元の価格で販売されている。。級日本料理屋に選ばれる高級感がありストーリーのある日本酒の開発が求められる。
Bグループ:上海人中産階級・外地人中産階級への提案
少し高いけど手が届く範囲の日本酒の提案。100元~200元の販売価格の日本酒が求められる。せっかくお金を払うならはしっかりとした商品を買いたいと思う顧客のニーズに対応するためどんな種類の日本酒だとしても箱入りにし高級感を出し日本風なデザインが求められる。
Cグループへの提案:上海人低所得者層・外地人出稼ぎ労働者
現在はターゲット消費者とはならないが、ポテンシャルのある80後90後(ばーりんほー、じゅーりんほー:1980年代1990年代以後に生まれた人)マーケットへのアプローチが大切だろう。いつか飲んでみたいという日本酒のPRを継続的に実施していくべきだ。例えば最近中国で大ブームの中国版twitter、weibo上での情報発信などが考えられる。
上海進出は、商戦時期を見失うな
中国は日本と商戦の時期が異なる。季節別にどのような商戦が期待できるのか以下検証した。
四大商戦
春節商戦: 1月~2月、春節を挟んで。(2011年は1月22日~28日)
5.1(wuyi)商戦:4月~5月、5月1日の労働節付近。
国慶節商戦:9月~10月、10月の国慶節付近。
クリスマス、年末商戦:11月~12月、12月24日クリスマス付近。
その他
⑤ バレンタイン商戦:2月~3月、中国では男性が女性にチョコレートを渡す。
⑥ 夏商戦:7月~8月、熱いので特に飲料関係の購買力は高まる。
春節、労働節、国慶節、クリスマス・年末の商戦は四大商戦と呼ばれる。
この四大商戦の中でも
1月~2月の春節商戦は最大の商戦、春節商戦の特徴を以下検証した。
春節商戦の特徴
■近年経済成長を背景に高額商品の売り上げが好調。欧米のクリスマス商戦に相当する中国の小売・サービス業にとって最大の書き入れ時。
■親から子供へのお年玉などの春節前のお祝い金、企業のボーナスなど特別収入があり消費力が高まる。
■中産階級の台頭や生活様式の変化に伴い、帰省時の土産、年越し用食料品、家電品の買い替えなどモノの消費だけでなくサービス消費も活発になっている。春節の大型連休を利用した海外旅行や外食が人気を集めている。
日本酒は、あえて春節商戦を狙う
【写真】すべて春節前のカルフール(古北)の風景。左上:春節の内装をされたお酒売り場。左下:春節に向けカートいっぱいに買い物をする人。右:春節に家に福を持って帰りましょうという広告。贈答用に赤い箱にパッケージされたハム(約300元)
日本酒を販売するには四大商戦の中でも贈答をする機会、家でお酒を飲む機会の多い春節商戦は向いているだろう。
春節商戦真っ最中のカルフールを見学したが、真っ赤な飾りや春節特別価格の書かれたPOP、カートを商品でいっぱいにしたお客でとても賑やかだった。
年間投下予算は各月均等ではなく、商戦時期の比率を高め、財布のヒモがゆるい時に一気に攻勢をかける戦略が中国には適しているかもしれない。
カルフールでは、現在約3種類の日本酒が販売されている。日本酒メーカーは、春節の際にお土産として買われたり、企業が従業員の福利厚生のために配れる商品を開発していくべきだろう。
富裕層に向けて、四大商戦の時期に、日本酒を提供する
購買力のある消費者に適切なタイミングで
国土が広く、人口が多い中国市場は大変魅力がある。しかし、実際に輸出を始めて上手く販売できている日本酒メーカーは少ない。
広い中国の中でも誰にどのような目的で日本酒を手にとってもらうか、進出前に冷静な分析が必要だろう。
富裕層顧客層に向けて、四大商戦の時期に、日本酒を提供するという方法は、おもしろいだろう。
2005年に上海の久光で行われたJETROの調査「上海における日本産酒類試飲販売調査事業」で、『売れ行き上位の酒はすべて化粧箱入りの銘柄。贈答用とするためには箱は必須であり、店頭においても化粧箱がないことが判明後購入を途中で断念するケースも見られた。』という結果も出ている。
現在中国で売れている日本酒はブランド認知をされている銘柄は3種類程度で多くの消費者は日本酒のメーカーによる区別を気にすることができない。
購買決定プロセスは、以下の二通りである。
①日本酒を買おう→聞いたことがある3種類の銘柄なら安心かな。
②日本酒を買おう→どれが良いか分からないので見た目がきれいな商品にしよう。買いやすい値段の商品にしよう。
そのため大手、中小、零細メーカーに関係なくブランドを構築できる時期であると言える。会社の規模も大切であるが、中国人にブランドとして認知される日本酒になろうとする中国市場に向かう姿勢が重要であろう。
中国向けの輸出は、東日本大震災以後停止していたが2012年初旬ごろから正常の輸出に戻ってきている。
2012年3月1日~5日は上海で外務省主催の『元気な日本』展示会http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/23/11/1129_04.htmlも開催される予定で多くの酒類メーカーが参加する。
2011年は多くの日本酒メーカーが中国向け輸出をストップするしか無く市場では、日本酒の在庫切れが相次いでいたが、2012年は、中国向け日本酒の輸出は加速されるだろう。
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