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「銀座の真ん中に熊本がある」

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熊本,アンテナショップ,銀座,熊本館

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熊本を感じてもらえるアンテナショップづくりとは

銀座・数奇屋橋交差点から程近くに銀座・熊本館はある。ここ熊本館では熊本の土と水が育んだ季節を感じられる食べ物を提供しています。熊本館で働く渡辺さんは、熊本県庁職員として農家の方たちの支援をする中で、農家が必要なのは、消費者が求める感覚についての知識だと感じていたといいます。熊本館ではどんなお店づくりをしているのでしょうか。







お店に入ると四季がある


銀座・数寄屋橋の交差点からすぐ近く。柳並木を歩くと熊本県のアンテナショップ、熊本館が見えてくる。
外観は上品な銀座の雰囲気に溶け込むように、主張は強くないが、お店の中に一歩入ると、新鮮な野菜、ふかしたてのおまんじゅうなど、ほっとする食べ物が目に飛び込んでくる。
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都会の真ん中ではなかなか季節を感じることは難しい。お店のディスプレイなど飾りつけではなく、生きている野菜や食べ物などを通して季節を感じるとなるとなおさらだ。

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それがここ熊本館に入ると、まずはいくつもの種類のかんきつ類が目に飛び込んでくる。みかんといえば、冬。あ、季節はもう冬なんだ、と五感が教えてくれる。

「熊本に住んでいると当たり前になってしまって気がつかなかったのですが、都会に住む人たちからは「旬」のものをとても喜んでもらえることに気がつきました」

それに気がついてからは、旬に敏感なお店づくりをひとつの戦略とする。 商品につけられるPOPは1週間単位で変えていき、お店のレイアウトも1ヶ月ごとに変化をもたせる。

年に4回開催されている特定の地域にフォーカスした地域産品フェアでは、春は温暖な熊本だから穫れるすいかが店頭に並ぶ。ちょうどゴールデンウィーク頃に並ぶすいかを楽しみに、毎年お店に遊びに来てくれるお客様も少なくないようだ。

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冬になると今店頭に並んでいる、かんきつ類が数多く並ぶ。スーパーマーケットには並ばないような珍しい種類もあり、試してみようか、とお客さんたちが手にとっていく。

これだけ商品の入れ替えやレイアウト変更を頻繁にするとなると、お店の店員さんたちが商品知識を知るだけでも大変だ、と想像したが、スタッフの皆さんは定期的に商品知識の勉強会を開催したり、新しい商品について勉強している。これもお店で熊本を感じてもらうための、取り組みのひとつなのだ。


農家のイノベーション、情報がかぎになる
都会の人は旬に鈍感で、興味がないものと思っていたが、そうではないという発見があった。都会は地方に比べ身の回りの自然環境で季節を感じられない分、食べ物の旬で四季を感じ取ろうとする。

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都会の人が旬に敏感だと気づいたことで、地方からの情報発信手段は言語だけではなく、『旬=農産物=地方からの情報発信=消費者の求めていること』だということが分かってきた。渡辺さんが熊本館に配属されてから数ヶ月が経った頃のことだ。

熊本県出身、県の職員でこれまで農業に関わる仕事に従事してきたという渡辺さんは、「熊本館に配属されることをずっと希望していた」。 農業改良普及員や農家への融資支援などの業務に携わっていた。

生産者である農家の方たちと多くの接点がある中で、いつかは出荷される食べ物が多く消費される都会で、実際消費者の人たちが何を求めているか実感してみたかった。

農家への融資・支援を担当していた頃、一世帯の平均年収が200万~300万円という現状を目の当たりにしてきた。自給自足の生活で食糧にあまり困ることはないとはいえ、子どもたちに教育を思うように受けさせることができなかったり、親の持つ農業の負債を抱えながらも後継者になることを決意したりと、農業の影の部分を知ることになった。

一方、農業を営む人たちの中にも、インターネットを駆使して自身で販路を拡大し、市場を切り開いているような人たちもいる。

農業に希望を持つには、農家自身が情報を発信すること、そして、どのような情報を最終消費者の人たちが求めているか知ること。つまり、「情報」が明暗を分けるのではないか、と渡辺さんは思い始めていた。

運良く、希望通りに熊本館への配属が決まり、自らその情報をつかむチャンスが訪れる。店頭に出てお客様と話したり、売上のデータを解析したり、さらには見聞を広げるためさまざまな勉強会などに足を運び、都会の「情報」「感覚」を貪欲に探し求めた。

すると都会の感覚が、自分が考えていたものと少し異なることに気がついていく。この都会に住む人々が持つ感覚、求めるものについての情報こそが、農業に新しい風を吹き込むになりうるのではないかと。


外に出て見え始めた、熊本の顔・イメージ



東京に来てみて、熊本県外の人が持っている熊本のイメージを知ることも、お店に熊本らしさを持たせるのに役に立っているようだ。熊本は自然が多く、クリーンな場所だと思われている。

実際、熊本で生まれる食べ物は、阿蘇からのおいしい水の恵みを受けて育った自然から授かったとも言える食べ物が多い。このような熊本のイメージを知ることで、熊本館での商品販売を希望している業者らへの商品づくりのアドバイスに活かされていく。

お客様が何を熊本の商品に求めているのか、どのようなアピールがより熊本らしさを伝えられるのか、熊本館で1年半弱お客様に接してきて「現場感覚としてつかんできた」と渡辺さんは話す。

2010年6月から開始した熊本館のネットショッピングサイトでもこの現場感覚でつかんだ商品ニーズを反映させようと努力している。ネットショッピングだと商品は写真、商品説明も文字しか伝える手段がなく、二次元情報だけだと商品の魅力が伝わりにくい。

簡単に買い物ができる便利さと引き換えかもしれないが、その溝は商品の持つ魅力・熊本で育つ商品の持つストーリー、生産者の顔・声などを載せることで、ユーザーへの想いを伝える。



熊本館にいると、アンテナショップという場が「熊本を感じる場」であることを、お店側以上に、お客様の側が意識している、と話す渡辺さん。「お店に一歩入ると熊本に来たかのような感覚を味わうことができ、都会にいながらにして、田舎に遊びにきたような、人情味あふれる雰囲気を感じたいと思って下さっているのだと強く感じます」

これからは熊本の食べ物を都会の方たちに食べてもらうだけでなく、農業やアンテナショップを通じて、県全体が盛り上がるような新しい企画を考えていきたいと渡辺さんは語る。

インタビュー中も「現場」という言葉が何度も登場した。渡辺さんにとってはアンテナショップの売り場に限らず、東京という場所全体が現場となり、ここで吸収した情報を熊本の人たちに伝えよう、新しいことを生み出そうという意気込みが伝わってくる。渡辺さんは熊本館お客さんを迎える暖かい笑顔と、熊本らしさを存分に伝えるイベント企画で、これからも熊本館を支えていくに違いない。




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